男性は知らないほうがいい話II

(1はコチラ:id:tsubuyaki_koeda:20050716:1121542739)
続く、とかいてしまったので書かなければならないこの悲しさよ。多分、後もう1回続くような気が既にしているし。長い.......。



で、ブツブツいっていても始まらないので早速。

【4】衿元を合わせる&衣紋を抜く
おそらく浴衣の着付け最大の山場であろう。「衿を正す」とよくいうように、清潔感とか折り目正しさとかから起因するその人の良い雰囲気、綺麗とか、可愛いとか.......は、和服に関しては衿元で全てが決まるといっても過言ではない。故に、最大に気をつけるべき個所となる。


まず、鏡で写しやすい部分「衿元」から説明しよう。よく、浴衣の着付け指南書などを読むと「鎖骨と鎖骨の間のくぼみがちょっと見えるぐらいに合わせるのが丁度良い」などとかいてあると思う。
で、当然浴衣初心者女性は、その通りに鏡の前で衿を合わせ、紐を巻き、帯を巻き..........とやって行くわけだが、気付くと鎖骨と鎖骨の間のくぼみがちょっと隠れるどころかがばっと出ていて「なんかちがう.........」そして外に出てあるけばさらに着崩れ「全然違う.............」となるわけである。


ここで発想を変えてみよう。
「折角綺麗にあわせたのに、着付けているうちに崩れてしまう」
のであるならば
「あらかじめ崩れてしまう事を想定して着付ける」
のである。

つまり、最終形が「鎖骨の間のくぼみがちょっと隠れるぐらい」であるのなら「鎖骨の間のくぼみなんか思いっきし隠れるぐらい首元を詰めて合わせ」て、紐結んだり帯結んだりして緩まってきた頃に「丁度鎖骨の間のくぼみがちょっと隠れるぐらいの位置に落ち着いている」という状態になれば、文句は無いわけである。あくまで重要なのは結果なのだ。どれぐらい詰めた方が良いのかは、その人の着付けのクセによるので色々試した方がよいとは思うが、とりあえず全ての人に共通で言えるのは「最終形を見越して衿もとは詰め過ぎな位で合わせておく」というコツが必要だということだ。



さて、衿元の位置は大体これでいいとして、今度は角度である。最近はそうでもなくなってきたが、ほとんどの浴衣写真が「衿元角度75度前後」なのではないかと思う。で、この角度「別に決まりじゃない」ので、むやみやたらとこの角度に仕様と思わなくて良い。なまじっか「装道」なんて物が有るだけに、角度が決まっているような思い込みがあったりするが、無い。無いものは無い。
じゃあ何を気にするべきかというと「自分に似合う角度がある」ので「それを探さなくてはならない」ということである。衿の角度を鈍角に(90度以上に)合わせると、全体的にふっくらした印象になる。ゆえに、かわいらしく、若々しい印象なので、元々そういう顔立ちの人とか、そもそも若い人とか、後は細すぎで少しはふっくら見せた方が良い人、なんかは鈍角に衿をあわせるほうが良い。もちろん、私は可愛い系に見えたいの、という場合は鈍角に合わせるべきである。
逆に、鋭角に合わせていくとどうなるかというと、シャープにすっきり見えるのである。だから、涼やかに見せたいとか、すっきり見せつつ色気を出したい熟女(NIKITAか私は)とか、ちょっと太めなのですっきり見せたいのよねとかそういう人は鋭角にあわせるほうが良い。ただし、鋭角にしすぎるとシャープになりすぎて、玄人さん風になってしまうので加減はある。まあ、そこらへんで落ち着いたのが75度ぐらいなんだろうけれど、その人の顔立ちとか体型とか、目指したい方向性によって衿を合わせる角度は変えたほうが良いと思う。
で、角度も衿の合わせ方と同様に「紐を巻いたり帯を巻いたりしているうちに角度がきつくなってくる」モノなので、自分の目指す合わせる角度よりも、さらに鈍角にして状態で着付けたほうが、最終形が決まりやすい。



ここまでで鏡正面からみえる衿元の決め方は判った。こんどはうなじの部分、つまり衣紋の抜き方である。


衣紋の抜き加減、それ浴衣女性の色気を決める最大の難所である。人生ここで決めるぐらいの勢いで着付けていただきたいと、思わず正座して言いたくなるぐらいの要所である。関所でいえば箱根の山ぐらい(誰もそんなことは聞いてない)。


まず最初に、基本は衿元と連携しているということを忘れてはいけない。つまり「着付けている間にどんどん衿元が下がって来たり角度がきつくなって来たりする」ということは、その後ろの部分の衣紋も「どんどん前に持っていかれる」訳である。ゆえに、「これぐらい衣紋を抜いてうなじを見せたいわ♪」などと思っている状態よりも、さらに抜いた状態で着付ける必要がある。ただし、どれぐらい多めにみておくかと言うのは、もう個人の誤差の範囲なので申し訳ないが一概に言えない。私の場合、大体こぶし1個分ぐらい首の後ろに空けたいなあと思って着るのだが、大体初めは1.5個分ぐらい多めに抜いて着ている。が、1.5倍なんかにしたら抜きすぎになってしまう人もいれば、もっと抜いておかないといけない人もいるだろう。これはもう、実験してくださいとしか言いようが無い。


さて、衣紋の最大のポイントは「首ではない肩で着るのだ」ということである。どうしても、衿元であわせたり、首の後ろを抜いたりするので、首周辺ばっかり気になってしまうのだが、衣紋の安定感、しいては衿元の安定感は「肩で決まる」のである。


普段浴衣を着る場合、襟元を決め、衣紋を決め、その状態で紐を巻き、伊達締めをして(人によって本数が違ったりするだろうがまあ一般的にということで。ちなみに私は伊達締めのみ。理由は紐があると苦しいから <オイ)、そしてようやく一息ついて、最終形を決めるために「背中の縫い目(背中心)」をぐいっと引っ張り「うん、衣紋がいい感じに抜けたかも♪」と思っている人がほとんどではないだろうか?

これ、間違ってはいないのだが、着崩れやすいのである。「衣紋は背中心で抜くのではなく、肩で抜く」。つまり、一通り紐を巻いて伊達締めを巻いて一息ついたら、引っ張るのは背中心ではなく「肩甲骨から真っ直ぐおろしたラインあたり」を左右それぞれ両手で掴んでぐっと下に引くのである。ちなみに、こういった抜き方をした方が、衣紋がとがらず、丸みを帯びて抜けるので良いという利点もある。
まあとにかく、こういう抜き方をすると、左右の肩で衿を支えている状態になるので安定感がある。背中心を引っ張っただけでは、背中心に全ての責任がかかるので、緩んできやすい。衣紋が緩むと衿に繋がっているので衿も緩みやすく、結果ものすごく着崩れた印象になる。


肩なのである。で、初めに戻るが、衿の合わせ方も意識すべきは肩である。「この角度、この位置に最終的に衿が来る様に『肩に衿を載せる』」のである。衿元でむりくり合わせようとしないのがポイントだと思う。




さあ、最大の難所は突破した!次は帯である。(ちなみに偉そうに書いてますが、決してこのようにしろとかいってるわけではないですので........。全て聞く必要ないと思いますが、知ってると便利だよ、というレベルのものだと捉えていただければ。着る人は皆知ってるものだと思うのだけれど、意外に文章化・体系化されていないので、自分の復習もこめてやっているだけでございます........ハイ。)




【5】帯を結ぶ
結び方はたくさんある。それはもう、それ専用の本やらサイトやらを見ていただきたい。言いたいのは一言だけである



「手元を気にしすぎて猫背で帯を結んではいけない」



ということだ。どちらかと言えば胸を張って、背中方向に斜めになって帯に乗っかるぐらいの勢いの方が良い。帯は腰を支えるものだ。腰が曲がった状態で決めてしまうと、一日その不自然な姿勢のままで過ごす事になり、腰が痛くなる。で、巻いたときの姿勢が悪かっただけなのに、なれない浴衣を着て「浴衣を着ると足も腰も痛くなって疲れる」なんて思ってしまうのは非常に損だと思う。帯はうまく巻けばむしろ腰をサポートしてくれる。



後はまあ、あえて言えば「帯を巻くときは下の部分を持って巻く」というのがあるが、そればっかりに気にするとなれない人は帯を巻きながら帯が緩む(笑)ので「取り合えず上下均等に巻いとけばOK」だと思う。ただし、「上ばっかり強いのは帯が緩みやすいのでNG」である。良いのは下部がきつく巻いてある巻き方、その次が上下均等。それぐらいだ。



【6】ゲタを履く
まあ、最近は疲れないゲタとか何とか色々出ている。二本歯のゲタは本来高やってはいてこうやってあるくもんだとか色々芸風(?)はあるものの、たまにしか浴衣を着ない人にそれを説いてどうなるんだと私は思う。年に数回しかないイベントを楽しく過ごせれば問題なし。


で、気になる鼻緒ズレであるが。一個だけポイントを伝授。下駄の鼻緒の多くは、中に紙芯が入っている。紙が硬いから、擦れて痛いのである。故に、買った下駄の鼻緒が硬い場合は、それは中の紙芯が硬いので有って、紙が柔らかくなれば問題ないのである。故に、外出前に入念に紙芯を揉み解しておく事をお薦めする。本当に入念なる揉み解しである。縦に横にねじったり潰したり、これでもかというぐらいに徹底的に仕込んでおく(プレイ?)ことが重要である。

なので、最近の鼻緒ずれしない下駄、と言うのは芯がウレタンだったりするのだ。最初から柔らかいってこと。



【7】歩く
和服に合う歩き方というものがある。が、年に数回だけそういう歩き方をしろと言うのは酷である。といって、歩き方が悪いとはだけてしまう。ものすごいジレンマだ。という訳で、簡単お気楽浴衣の日の歩き方講座。初歩過ぎて涙が出るぐらい篇、ツーことでいくつか。

  1. 平均台の上、或いは細い白線の上を歩くような気持ちで足を運びましょう(故に膝を擦りながら歩くような形に)
  2. やや前のめり斜め加減で歩きましょう。速く歩きたいときは、斜めの角度をきつくする事で対応しましょう。歩幅を広げてはいけません。
  3. 手は余り振らないで歩きましょう
  4. のぼり階段は右斜め方向に体を傾けつつ、やや横のぼり状態で左足から登りましょう。このとき、右手でちょっと浴衣の裾を持ち上げながら階段を上るのがポイントです。
  5. くだり階段は、左斜め方向に体を傾けつつ、やや横降り状態で右足から降りましょう。上りと同様浴衣の裾を持ち上げておくのがポイントです。まかり間違ってもがにまたで降りてはいけません。

ま、こんな感じか。



という訳で、皆様無事にお出かけを.............。




で、実は番外編として「着付けの前にそもそもこれを気をつけろ!」というのがあるのだが、それはまた長くなるので、後日。
またも「続く」