日航機墜落から20年

実はその日、私は草津にいた。


父の友人の別荘に遊びに行っていたのである。で、そのころ星を撮影する事に凝っていた父は、季節柄ペルセウス流星群の為に、三脚を構えていた。それに付き合って、私も流れ星探しなんぞをしていたのだが、その日、流れ星にはありえないほどの滞空時間というか、尻尾も含めて数秒間見えるほどのモノが流れた。


流れ星、というよりももはや火球ともいうべき光り輝き方で、その場で観測していた人たちはみな「すっげーー!」「いまのはすごかったね!」「すごいよあれは!」「史上最高だね」などと、口々に叫んだのだった。



生憎、そちらの方にカメラを父は構えていなかったので、その流れ星の写真は残っていないのだが、今でもペルセウス流星群の話を振ると「あのすっごい大きいのは、ほんとに凄かったよねえ」という話に必ずなる。それぐらい強烈な流れ星であったのだ。




そして、その流れ星のほかにも数々の流れ星を見て(その年は確かペルセウス流星群の当たり年だった)、興奮冷めやらぬまま帰路につき、朝、起きてテレビをつけたらどのチャンネルも日航機墜落事故のニュースで埋め尽くされていた。



ふと、半分冗談も含めて「昨日のあのスゴイ流れ星って、亡くなった人たちの魂だったりして」などと言っていたのだが、実際調べてみると(父は撮影記録を残していたので、そこから辿れるのである)、まさに観測場所から御巣鷹の方角に流れていたたことが判明した。



まあ、流れ星を見た時間はかなりの夜中、飛行機が落ちたのは夕方、時間はずれているものの、何か偶然とは言い切れないものを感じずにはいられなかった。




日航機の事故の時期になると、それを毎年思い出す。そしてただただ亡くなった方のご冥福を、お祈りするのみである。