墓地を巡る伝説

説明しだすと長くなるのでやめておくが、
東京は雑司が谷霊園に「土岐家之墓」と記されている
土岐さんと米倉さんたちが合計8名入っている森永家の墓がある。

しつこいようだが、その苗字の複数っプリは
話し出すと長いので省略しておく。


まあ、何の変哲も無い普通の墓である。


雑司が谷霊園の一角で、
細々と墓としての人生を全うすべく、その墓はたたずみ、
年に2回ほど掃除される程度のごく一般的な扱いだった訳であるが、
どうも様子がおかしくなってきた。


斜め後方に生えるイチョウの木が、年々こちらに進出してきている様子なのである。

 (写真はイメージです)

........とはいえ、樹木と言うものは早々極端に巨大化するものでもない、
のんびり観察しておこうか、という風に捉えていたのであるが、数年前ついに




イチョウの根が墓の敷石を持ち上げ、墓、ピサの斜塔状態に。


 (ピサの斜塔)


.........大丈夫なのか。
このままイチョウに飲み込まれてはしまわないか(それはない)。


と、おろおろしているうちに翌年



イチョウの根、敷石破壊。
墓本体、崩落寸前に。



..........一家一同無言。

il||li orz il||li


 (木の根の破壊力イメージ)




いかん。
いかんではないか。
何をするんだイチョウ
何で勝手にうちの敷地に入り込んでくるのか君は。
しかも敷石破壊など、器物破損もいいところだ。
何の権限があってそう当たり前のようにニョキニョキと。

......しかし相手は自然物、どうしたらいいのかもわからない。

木を勝手に切っても良い訳が無いし(霊園管理のものだろう)
まあ、で結局、管理事務所に相談した所、
「代わりの敷地をタダで差し上げますので
 そちらに移ってはもらえませんか」
という回答が。

何でもそのイチョウの木、東京都の樹木で、
ちゃんと番号も貰って管理されている割と立派なものだったらしい。

だから勿論切る訳には行かないし、東京都の持ち物の都合で
割を食ったわけだから、東京都が代替地を用意してくれると言うことなのだ。



ラッキー。



もう、イマドキお墓高いからね。
こういうことはきちんと利用しておかないとね。
しかも雑司が谷なんて便利な所、カクホカクホ。

というわけで、
「この際だから、名前を森永にしたお墓に作り替えよう
 なんせかなり破壊状態にあるのだし、今のは」
と、森永家お墓移設プロジェクトが立ち上がったのである。




さて、そんな訳で墓を作ることになった森永家、
凝った墓を作りつもりは全く無いものの、
墓を作るのは初めてで勝手がわからないのは確か。


早速母親が不思議メールを送ってくるようになった。


「墓石屋さんとの話し方がわかりません、コツを知りませんか」
は い ぃ ?


「墓石の相場は幾らぐらいだと思いますか?」
聞 く な よ 私 に 。


「霊園お勧めの石屋さんがあるのですが、そこでいいと思いますか?」
知 ら ん が な 。



娘をなんだと思っているのか。
墓石マニアか。


とまあ、こういったやりとりの上(どういったものだよ)
母は無事に石屋さんと話がついたらしいのだが、ある日画像が送られてきた。


「デザインはこれでいいと思いますか?」


..........。



いや...........。



良いんじゃないですか。



普通だし。



って言うか見てもわからないしそもそも




私は墓石のデザインについて一過言あるわけじゃない。



そして数日後今度は別の画像が送られてきた。
「文字校してください。」
 



いや.....母よ、あなたがすれば十分では無いのか、
そんな複雑なものではないでは無いか。


そもそも私はトキさんの文字に自信が無いし
埋葬用語に明るく無いし
おばあちゃんの名前漢字も今始めて知ったし
全く役立たずなんだと思うのだが......。



っていうか


文字校って言うなよ


確認とか何とか他の言い方が  orz
(だから校正経験者は全く.....ブツブツ)





そして、ようやく決まったらしく、またメールが来た。

「お坊さん代、工事代も含めても含めてX万です。
 割り切れる数字なので、1人Y万と言うことにしました。
 今度気が向いたときに振り込んでおいてください。」

まあ、父母私で1人Y万ずつと言うのは良いのだが
「たまたま割り切れる数字だから」
と言う理由はどうなのだろうかと思う。



と言う訳で先日振込みをし
「振込み確認できました」
とメールを貰ったのだが、その母からのメール、
後に続く文字列は、かなりホラーだった。




そもそもこのイチョウとの戦いに敗れた墓であるが、
合計8名の方が埋葬されていることになっている。

お墓の引越しに当たっては、8名様全員の引越しは必須である。
と言うよりもむしろ、残していく意味が無い。

なので、埋葬されている骨壷を全て取り出す必要があるのだが、
母のメールにはこうあった。


「お墓を開けたら、骨壷はひとつしかありませんでした。」



.........え?




つーかそれは、当然数年前に埋葬したおばあちゃんだし、
逆に言えば他に無かったと言うことになるわけ???



なんじゃそりゃ。
ま、とりあえず、メールを読み進もうか。



「とりあえず、墓石を全部どけてみることになり、
 そうすると他の骨壷も出てきて」




ああそう、よかった





「合計

3つに

なりました」







.......全部じゃないのかよ!
どこいったんだよ残り5つは!




「管理事務所の人に相談した所
 『昔は土葬だったので掘り返すと出てくるのではないか』
 というので、2Mほど掘ってみることになりました」



うん。



「しかし、今回の移設の原因となったイチョウの木の根の張りがすごく
 掘り下げることができず、遺骨を発見するには至りませんでした。」





桜の樹の下には屍体が埋まつてゐる(梶井基次郎)




.....銀杏の樹の下にも

人間が埋まっている。





.....お前そんなにでかくなったのはもしや土岐さん達の(以下略)



まあ、うちのベゴニアと一緒にしてはいけませんね。
(ベゴニアについてはこちら)






それにしてもその後の母のメールの結びがすごかった。


「まあ雑司が谷は墓地だから当然ですけど
 あの辺りの地下は骨がごろごろと埋まっていそうですね」



そ、そうですね。




まあそんなわけで、

土岐さん(骨のみ) ←》分断《→ 土岐さん(壷入)・米倉さん・今後森永

と言うことになってしまったのだった。




墓を引っ越さなくてはいけないと言うことだけで既に意味不明なのに
引っ越そうとしたら何で追加事件が起きるのか本当に意味不明だ。

本当によくわからない。


その後の情報はこちら