そんなことを言う子はうちの子じゃありません

最近、同じ会社の人の実家がオレオレ詐欺で、約800万弱もの被害に遭ってしまった。その他にも、直接の知り合いではなくても、知り合いの親戚、とか知り合いの知り合い、とか知り合いの同僚、などなどの実家が結構被害にやられているという話をよく耳にする。


彼らがが口にする共通点と言えば
「あんなの絶対引っかかんないよと思ってても、引っかかっちゃんだよ。」
ということだ。


はたからオレオレ詐欺の話を聞いていると「バッカでー」と思うのだが、いざ対象者に自分が立たされると、見事に犯人の誘導に乗ってしまう様なのだ。まるで本当にその場にいるような効果音付きの電話(多分スタジオ設備があるのかもしれない)が臨場感を盛り上げ(?)るとか、微細な設定の細かさに思わず本当だと思ってしまうとか、そういうことの積み重なりで、信じてしまうらしい。自分の関係者が、なにか大変な目に有っているということを。


例えば、正直笑ってしまったのだが、
「碑文谷警察署、刑事課の、工藤、と申します。尚、折り返し頂く時には、コチラには工藤が二人おりますので、たかひろ、の方でお願いします」
などと、後日談として聞くと「細ケー(笑)」というような所まで凝っているらしい。


笑ってしまうで思い出したが、被害を受けた家のこどもである人たちが皆言うのが「別に、兄弟のうちどっち、って向こうは言ってないのに、勝手にこっちだって親が思い込んで話が進んで行くのがビミョー、と思うんだよね、親に.........」という台詞。
どうやら、大抵兄弟が2人以上いる家にかけていることが多いらしく、そして大抵どの親も「どちらかと言えば割と先行きが心配だと思っている子供の方」がそうなったと、頭から決め付けて電話に聞き入ってしまうらしいのだ。


そりゃ確かに決め付けられたほうはビミョーだ。
「問答無用で親までオレ(ワタシ)って決め付けるのかよ!しかも、うたがう余地なし?」
ってな所だろう。



さて、これらを踏まえて、私もさすがに実家の親が心配になってきた。そして電話をかけ、様々な自分周辺の事例を上げ、「うちはそんなのだまされない」と思っていても、当事者になるとコロリと行くらしいから本当に気をつけるように、と、長々と念を押した。


すると、父親は
「大丈夫だよ。
 お前は事故に遭ったとしても、親に泣きつくようなことはプライドに賭けてしないし
 まあ、万が一そういうことになったとしても、そういう風には育ててないって言うから。
 わかってるよな?」
と言った。



そ、そうですね。



心配した私がバカだったよ。



さらに母親が
「大丈夫よ。
 どうせお金ないから、本当に事件に巻き込まれちゃったとしてもムリだから、
 自力で何とかするしかどっちにしろないんだし、一緒でしょ。
 わかってるわよね?」
と言った。





..................。




親が常人の感覚と多少ずれている事をすっかり忘れていたよ。オレオレ詐欺の恐ろしさに一番踊らされていたのは娘である私であるということか。うちの親は、引っかかる引っかからない以前に「問答無用、自分で何とかしろ。助けを求めるにしても泣きつくってのは無しだよ。それ相応の手段を踏んでね。」という親だった。ああ、そうだったそうだった。





まあ、なにはともあれ、気をつけましょう。